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【第15回】 プロジェクトのリスクをどのように分析するか?

前回のコラム「【第14回】 スケジュールの妥当性をどう評価するか?」 でプロジェクト計画で作成したスケジュール妥当性の評価方法について説明した。
今回はプロジェクトのリスク管理、特にスケジュール作成時に考えるスケジュール・コストのリスク分析ついて述べていきたいと思う。


プロジェクトでは、工事の現場を見てみたら岩場となっており作業が難しい状態であったり、設計遅れにより工事が始められない状態が続いたりなど、予期していないことが起こり得る。
プロジェクトでは、このような事態を事前に【リスクイベント】として想定しておき、「リスク特定」「リスク分析」「リスク対応計画」「リスクコントロール」とリスク管理をしていく。



また、リスクにはスケジュールに含まれる【不確実性(Uncertainty)】というものもある。
たとえばスケジュールを作成する時の、あるアクティビティの所要期間が60日だったとしよう。
通常このまま(クリティカルパス計算で)スケジューリングをすると、60日をベースとした全体工程ができあがり、各マイルストンの完了予定に対するフロート計算がされ
スケジュール調整を行っていく。
スケジュール作成者が納得いくスケジュールができた時「このスケジュールなら大丈夫。
納期に間に合いそうだ。」と、うなずくだろう。



しかし、そのアクティビティは本当にその所要期間で終わるだろうか?
もしかしたら60日ではなく、90日かかってしまうかもしれないし、48日で完了するかもしれない。このようなケースを考えると予定納期に終わる可能性はどのくらいなのだろうと心配になってしまう。


このようにアクティビティの所要期間にブレが出るかもしれないことを【所要期間の不確実性】という。
これはコストも同様で、アクティビティにかかるコストを1,000万円で見積もっているが、1,500万円かかるかもしれないし、800万円で完了するかもしれない。
このようにアクティビティのコストにブレが出るかもしれないことを【コストの不確実性】という。



そこで出てくるのが、3点見積とモンテカルロシミュレーションという考え方である。
アクティビティの所要期間とコストに、楽観値(Min)、最頻値(Most Likely)、悲観値(Max)の3点で変動幅をもたせ、分布を使ってシミュレーション(モンテカルロ法の活用)し、いつにいくらのコストで完了しそうかの確率を表現するものである。

アクティビティの3点見積


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上図はアクティビティの所要期間を「楽観値、最頻値、悲観値」の3点見積をした例である。各アクティビティに3点の値をもたせ、モンテカルロシミュレーションをすると所要期間が楽観値の場合は、○○の場合は・・・と複数(10,000回など)のケースを計算をしていき、いつにどのくらいの確率で完了するかの結果が出せる。



ここまでリスクの1つであるスケジュールの【不確実性】について述べてきた。
ここで一旦、前述した「設計遅れ」「天候不良」「地質」などのプロジェクトで発生する
リスク分析である【リスクイベント】の話をしたいと思う。
リスクイベントは以下の手順で計画する。


 ① リスクレジスタ(リスク登録簿)へのリスク登録


 ② スケジュールとコストのリスク発生確率の入力


 ③ スケジュールとコストのリスク影響度の入力


 ④ 発生確率×影響度の計算


※実際には④の結果を得て、各リスクの対応をどのように考えるかが計画として入る。


リスクレジスタ


上図はリスクレジスタに3つのリスクを登録した例である。
この例では、「地質」リスクは発生確率が30%で、発生した場合のスケジュール影響は90日、コスト影響は20,000千円となっている。

よって、

スケジュールのリスク対策計算は 90日×0.3=27日


コストのリスク対策計算は 20,000千円×0.3=6,000千円

となりリスクレジスタが完成する。


リスクレジスタが完成したら、各アクティビティに関連するリスクを割り当てていく。
この割り当てたリスクの対策をどう考えるかは人の判断が入ってくるが、先ほどの不確実性対策の3点見積に、リスクイベント対策を含めて考えることで、さらなるリスク分析が可能になってくる。



不確実性対策とリスクイベント対策


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上図は不確実性対策とリスクイベント対策の両方を考えるものである。
3点見積とリスクイベントの両方をモンテカルロシミュレーションにかけていく。
実際に両方をモンテカルロシミュレーションにかけるものが下図となる。

3点見積とリスクイベントの例


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所要期間が90日のアクティビティに3点見積、さらにリスクイベントより30%の所要期間をアクティビティにリスク対策として追加している。
これでモンテカルロシミュレーションの計算回数を決め(たとえば1,000回など)、シミュレーションをかけてみる。

モンテカルロシミュレーション


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上図はモンテカルロシミュレーションにより、計算された結果である。
このデータ(リスクイベントも含め)では、プロジェクトの完了日は以下のようになる。

すべて楽観値だった場合(一番早い完了のケース)は   2021/03/17


すべて悲観値だった場合(一番遅い完了のケース)は   2021/08/10


最頻値だった場合(3点見積をしなかった)は50%である 2021/05/31

このようにプロジェクト完了確率と日付がわかるようになるため、スケジュール作成者や受領者が想定している完了日と照らし合わせて考えることができるようになるのである。
これらは、コストも同様に3点見積やリスクイベントで管理・シミュレーションができる。



さて、ここまで不確実性とリスクイベントの考え方とモンテカルロシミュレーションによるリスク分析について説明してきた。
これらの考え方は実践するためには専用のシステムを活用する必要があるだろう。


では、システムを使ったイメージを紹介したいと思う。
今回はプロジェクトのリスク分析システム Deltek Acumen Risk™ を例にあげて紹介したいと思う。

Acumen Risk


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上図はリスクレジスタ(リスク登録簿)の画面である。
「リスク項目」「発生確率」「スケジュール影響」「コスト影響」を入れると、「発生確率×影響」が計算され、入力したリスク内容とともにリスクレジスタへ登録される。
このあとリスク対策の取り扱いをどうするかなどのスコアリングもあるが、今回は割愛する。



次に3点見積に移りたいと思う。スケジュールは 前回紹介したAcumenFuse® 同様、Primavera P6 や Microsoft Project、Excel などから取り込むことができる。
下図は各アクティビティもしくは WBS に対し、不確実性の設定と分布選択を行い「悲観値、最頻値、楽観値」を計算させている。これに計算回数を入れることにより、モンテカルロシミュレーションが行われる。

Acumen Fuse


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下図はモンテカルロシミュレーションの計算結果である。
3点見積をもとに「ヒット数」と「完了確率と日付」をグラフで表現している。
このデータでは前述したものと同様に、プロジェクトの完了は

すべて悲観値だった場合は 2021/08/10


すべて楽観値だった場合は 2021/03/17


すべて最頻値だった場合は 2021/05/31

となっている。

モンテカルロシミュレーションの計算結果


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下図はスケジュール同様に、コストに対して不確実性を設定し、リスク分析したグラフである。

リスク分析グラフ


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このようにシステムを活用してスケジュール・コストのリスク分析をすることにより、プロジェクト完了時点におけるスケジュールとコストに関する見通しが分かるようになり、対策を考えることがよりできるようになっていくのである。



以上、今回はプロジェクトのリスク分析をテーマとして不確実性とリスクイベントの考え方、またシステムを活用したリスク分析のやり方について説明してきた。


さまざまなスケジュール技法やシステムが活用されるようになってきた現在、スケジュールをどう評価するか( 前回コラムのテーマ )、スケジュールに含む不確実性やリスクイベントをどう調整するかを考えるプロジェクトや企業が増えてきている。
みなさんもプロジェクトに潜むリスクを分析・対策してみてはいかがであろうか。







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